ある高齢男性と話していた時、私が「山が嫌いなんです」と言うと「どうして?山はいいよ~。自分は山が好きだなあ」と返されました。
その高齢男性の出身地は周囲に高い山の無いだだっ広い平野部で、若い頃から登山や山歩きが趣味だということでした。
一方私は、低山ながら鼻を突くような山々に周囲を囲まれた狭い盆地の出身です。山は親の山仕事に付いて行き、そこで手伝いをしたり遊んだりしていた場所であり、一人で行くには少々怖い場所という認識があります。
世界の出来事に関心を抱く年頃になって、広い世界を我が目で見てみたかった私には自分の視野をさえぎる象徴的存在として山はうとましい存在でしかありませんでした。その頃はよく「山の彼方の空遠く......」の詩を口ずさんでいました。
私に「どうして?山はいいよ~」と返事した高齢男性にとっての山は趣味の登山やトレッキングでたまに訪れる対象としての認識なのだと思われます。
私も40代~50代の一時期、趣味としての登山を繰り返したことがあります。その時はたしかに楽しいと思ったことはありますが、それは登山という趣味を行う楽しみであり、旅行であちこち出かける人の楽しみと同様の楽しみであったと思います。
会話のすれ違いというのはこんな些細な話題からも生じるものなんですね。
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