マンションの管理人として仕事中に不審な人物が目に付くと、声掛けをするようにしています。もちろん、管理マンションに関係しそうな場合に限ります。対象が大人であっても子どもであっても同様です。
過日、担当マンション玄関先のアプローチでウロウロしている女児が目に留まりました。子どもといえども予想外の行動をすることがあるので「あなたここで何しているの?」と声をかけたのですが、小さな声でモゾモゾ話す声が聞き取れないし内容も要領を得ません。おまけに顔半分は黒いマスクに覆われていて顔の特徴が分かりません。どうも友達とこの場所で待ち合わせしているようでした。しまいには何を聞いても黙って私の顔を無表情に見つめるばかりです。
あまりにも会話が成り立たなくて、少し私もイラ立ってきて、問いかけの言葉もきつめになってしまいました。
その後、その女児は少し離れた場所に移動したようでした。
翌日、その子の母親が私に「昨日うちの子と何か行き違いがあったようですが......」と丁寧な口調で話しかけられてやっと、その子が担当物件の住民であることが分かりました。それならマンション前のアプローチで友達を待っていたことは当然の話です。
私が知りたかったのはそのことで「このマンションに知り合いがいるの?」と問いかけはしたのです。マンションの関係者かどうか確かめたかったので。しかし彼女は黙って私の顔を見るだけだったので「ここで友だちを待っていても良いけれどマンションの中をのぞき込んだりしないでね」と話を打ち切ったのですが、スッキリしない終わり方でした。
翌日、母親の後ろにいるその子は前日と異なりマスク非着用だったので(あゝ、あの子だ)と判別できました。コロナ以後もマスクをはずさない人が多くて表情の読み取りや声の聞き取りが難しくなっています。それに加えて最近の子供は人の問いかけに応える会話ができなくなっているように思います。
今回のことは私の判断ミスなので、その子にもご両親にも丁寧に失礼をお詫びしました。
でもね、私は危惧するのです、こんなにも会話ができない子どもが目につくようになったことを。今回のことだけではないのですよ。さまざまな場面でこちらの問いかけに言葉を返さないまま棒立ちする子どもが増えているように感じます。
その一方で『論破』とか言って相手をやり込めるだけの手法が注目を集めるSNSの言論傾向も気になりますし......
怖くないですか?人間同士のコミュニケーションが成立しづらい社会になっていくことが。いや、もう既にそうなっているのかも知れませんが......
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