夫が急性骨髄性白血病と診断を受けた時、長男は4歳で幼稚園に入園したばかり、次男はまだ1歳の誕生日を迎えていませんでした。私は30歳、これからの子供の成長を楽しみに平々凡々と専業主婦暮らしをしていました。
その日は、次第に進む体調の変化が気になっていた夫が職場の保健室の紹介で精密検査を受ける為に病院へ出かけた後、折り紙をして遊ぶ子供を見ながら部屋に掃除機をかけていたところでした。固定電話の呼び出し音で受話器をとってみると「本日受診でご主人が来院された〇〇病院ですが、急いで奥様にお伝えしなければならないことがありますので病院にお越しください」ということです。
同様の場面はドラマや小説で幾つも観たり読んだりしたことがあるので、電話の内容が深刻な事態を意味することは即座に理解できました。
さあどうしようか......子供は幼いし、こんな時に頼りたい私の親きょうだいは遠くに住んでいるし......。まだ結婚して5年ほどだったこともあり、夫の一大事は夫の身内に話すべきだと、電車で2時間ほどの地に住む義兄(夫の6人きょうだいの一番上の兄)に電話連絡を入れました。
病院へは義兄夫婦が同行してくれました。医師から告げられたのは、私の予感通り命に係わる病名でした。今ではさまざまな治療法が確立して社会復帰している有名人も多い急性骨髄性白血病ですが、当時はまだそういう希望は持てない病でした。
その後、診断を受けた病院から日本有数の大病院への転院、治療方針の説明等々に対処しながらも、一方ではスタートしたばかりの乳幼児の我が子との生活もありました。しばらくは食事が喉を越さない日々が続きました。
それにしても、年齢差20余歳でそれなりの企業の役職に就いている義兄を頼りにできると思った私の期待はその後順を追って裏切られていくことになったのです。
コメントする