ポトンと音がした。
見るとボタンが落ちている。
直径2cmくらいの大きめのボタン。
失くしたことに気づいた時には補填が難しい品。
教えようかなどうしようかなと、一瞬迷った私。
でもやめておこうと思った私。
ところが、
「落ちたよ」と大きな声をかけた人がいる。
おじさんだった。
ボタンを落とした若い女性は黙って拾った。
そして、
そのまま電車を降りて行った。
「ありがとうございます」も言わずに・・・
それが想定できたから私は教えてあげるのをためらったのかもしれない。
おじさん、あなたは偉いよ、実に偉い。
何の反応も返ってこなくても呟かなかったもの。
おじさんって言いがちだよね「礼も言わないのか!」って。
あなたは言わなかった。
今朝の電車での一コマ。
些細な社会的言語さえ発語しない人が増えている。
オ・マ・エは機械か。
次第に血の通わぬ機械になりつつある人間。
不気味だ。
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