一人で仕事するようになって二週間が過ぎた。
5月初めから担当マンションに通勤するようになって二週間は、
引き継ぎを兼ねた派遣代行さんとの二人三脚だった。
正管理員不在期間の三ヶ月は、こうした派遣代行さんが数名で担当していたようだ。
そこへ、私が正管理員として着任したのだが、最初のうちは私の方が「借りてきた猫」状態。
前任者の残したアレコレをじっくり確認したくてもデスクは代行さんに占められて触れなかった。
それがまた、仕事への不慣れからくる私の焦りを増長させたのは間違いない。
早くこの現場のこれまでを把握したいという思いが日に日に強まっていたが、
業界素人の私が大きな顔で初日から主役を主張できる筈もなく、
ただ黙って、日々入れ代わり立ち代わり面子の変わる代行さんに従って動いていた。
そして、三週間目になってやっと、一人になった管理室で前任者の仕事の足跡に触れることになった。
前任者も女性で、数年(3-4年?)担当していたようだ。
残された書類の文面から、私とは全然異なる性格というか仕事への姿勢が見えてきた。
一番ショックだったのは彼女の接客慣れした文言使いの文章。
(わ・わたしにはこの人と同じことはできそうにない・・・)と、いっきにやる気を削がれてしまった。
前任者の残した文章からは、これまでの私の人生には無い「品(しな)をつくる」という文字が浮かんできた。
いったい前任者はどんな人柄でどのような仕事ぶりだったのか・・・?
それが大きな精神的負担となり、長時間の通勤や肉体労働からくる疲れより精神的な疲れが勝ってきた。
前任者と会えていないことが、不安の想像を膨らませてしまったようだ。
前任者の文章から私が想像した彼女の前職は、
首にスカーフを巻いて両手をお腹のあたりで組み優雅にお辞儀をするお仕事。
うーーーん、私のようなガサツ人間には無理!
その後、担当マンションに訪れた数人の業者さんや会社の管理指導部門の人と交わした会話の片鱗から、
すこーしづつ彼女のことが見えてきた。
今は、彼女と同じようにする必要はないと思えるようにはなりつつあるが、
果たしてお客様である居住者の皆様に "私流" が通じるかどうか・・・
この年齢になって、まだまだ働こうと志したは良いけれど、
これほど本格的に(一丁前)を求められるとは思わなんだ、というのが現在の偽らざる心境。
まあね、無理だと思えば辞めればいいんだし、そこは別の仕事で一区切りつけた人間の強み。
この仕事だって、勤められても数年(3年くらい?)だろうし、あまり気にしない方がいいかもと、
肩の力を抜こうとしている現在。
それにしてもこの疲労感は何なんだ!
長時間のラッシュ通勤が無理なのか、はたまた仕事がきつ過ぎるのかと悩み始めていたが、
今日あることに気が付いた。
それは連日の気温上昇。
不慣れな通勤と仕事、それに加えての連日の暑さ。
新しい仕事のアレコレから来る激疲れもあるけれど、軽い熱中症かも知れない。
齢をとると暑さ寒さに鈍感になるとは聞いていたけれど、気を付けなくっちゃ。
まったくぅ、安穏とか退屈とかいう言葉とは無縁の人生だよな私の人生は、と思うこのごろ。
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