大した期待を抱かずに図書館にリクエストして読み始めた一冊。
いま流行の、奇妙な漢字をあてはめた名前を収集して面白がるくらいの内容かと思いきや、
意外や意外、これが日本語の成り立ちにまで話が及び、
途中からは、
これまで批判的に見てきたキラキラネームへの見方が変わりそうになっている。
気に入った表意の漢字を好きな音(おと)で読ませるという命名の仕方は、
何も現代に始まったことではなく、
古来の日本語が(大和言葉と中国伝来の漢字)を融合させた時から始まっているとの解説。
その例として、作者は歴史上の人物の名前を次々に例に引いている。
そう言えばそうだなあ、と今更ながら納得の解説。
歴史という時間の経過があったり、これはこう読むのだと世間一般に知られている名前は、
読み手の好きも嫌いも入り込む余地なく丸暗記するしかなかったのだもの。
キラキラネームという、
ともすれば現代の若者の軽はずみな行動として批判するだけに終わりそうな事象を、
日本語の歴史的な観点から掘り下げて学術的な理解に深めて行く論理展開の鮮やかさ。
これは、私のように固定観念に縛られた古臭い人間の頭を改造してくれる好書だった。
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