朝日新聞:首都圏 地域総合ページに「小津安二郎がいた時代」という記事が連載されている。
時間的余裕のある時に、関心が向けば目を通している。
今朝は(品性 人生の本質映し出す)とのタイトル。
共感を覚えた文章を、少し引用してみたい。
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「結婚前にすこしくらい品行が悪くてもそう気にならないとおもうけど。品性の悪い人だけはごめんだわ。
品行はなおせても品性はなおらないもの」
映画「小早川家の秋」(1961年)で、原節子はこんなセリフを口にする。
(省略)
この言葉は小津安二郎自身の思いでもあった。おいの長井秀行(76)が振り返る。
「品行方正でなくてもいいけど、品性下劣になってはいけないとよく言っていました。
品性下劣なやつはどうしようもないってね」
小津が求めた品性とは何か。
(省略)
「うそをつくな。人に迷惑をかけるな。この二つは絶対に守れ」
(省略)
長井から見た小津は正義感が強く、言行一致の大人だった。
知ったかぶりをしない、自慢話をしない、弱い立場の人に威張らない。
(省略)
小津が求める品性とは、その人がどういう人生を生きているか、
という本質の部分だと山内は理解した。
*小津映画のプロデューサーだった山内静夫:88歳ーーー露草補足
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 引用ここまで
新聞や雑誌などに書かれた文章を、そのまま転記するのは気が引けるが、
私の言葉で書き直せばニュアンスが異なるかもしれないと思い、あえて引用転記した。
その小津の思いに合致する俳優が笠智衆だったそうだ。
映画を観ることが好きな私だが、鑑賞し終えた時点で心が清浄になっていると感じる作品は数少ない。
そんな数少ない作品を思い起こしてみると、小津安二郎作品が多く入っている。
それらの作品に出演している人々それぞれに好ましい印象が残る。
あの世界は今何処。
人が人と初対面した時、誰しも相手に何らかのイメージを抱く。
その第一印象の判断に根拠を与えるのは各個人の人生に対する姿勢だと思う。
人生に対する内面の姿勢はいずれ外面にも影響を及ぼし、
次なる他者との出会いの場面で空気となって相手に伝わって行く。
今朝の記事を読んで、改めて『品性』の大切さを小津安二郎から学んだ。
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