まず、本を破るという行為は、読書を楽しみにしている者としては赦しがたいことである。
私は、幼少期に「新聞や本を踏みつけるものではない」と教えられた。
今あえてその教えに理屈をつけるとすれば、
(多くの人々の経験や研究や取材などの労力の賜物)としての印刷物は、
単なる紙類ではなく、人間の知的精神的成長の一助となり得る貴重な存在として敬意を抱け、
ということだと言える。
その敬意は、本を著した人やその内容に取り上げられた人へ向けられるものだと思う。
無形のことやものであっても万物に魂宿ると考えるこの国の美しい文化の顕れ。
現在ニュースで報じられているアンネ・フランク関連本などの被害に関しては、
器物損壊という物理的犯罪以外の思想的な意思が反映されていそうなことが重要な捜査対象になる所以。
何冊の本を損壊しようと、アンネ・フランクという無辜の少女が犯罪的思想の犠牲になった事実は消せない。
もしその事実の解釈に異論があるなら、自ら書を著すなりインターネット発信して自らの思想を世に問うなりすれば良い。
ただしその場合は、匿名ではなく、実名や顔を世に公表して堂々と行うべきである。
卑怯な行いは許されない。
何とも腹立たしく赦しがたい犯行は未だ解決されない。
一日も早く犯人が捕まって、その実態が解明されますように。
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