『国民の底意地の悪さが、日本経済低迷の元凶』 加谷珪一 幻冬舎新書
タイトルに惹かれるものがあってこの本を読んだ。
著者をテレビで見かける時には経済に関する問題の時が多いのだが、この本では経済のみならず社会全般に共通する日本人の問題点を指摘していると、強く共感を覚えた。
「他人の不幸は蜜の味」......何と嫌な言葉だろう。
本人が意識しているかいないかにかかわらず、こうした言動や感情の傾向を日本人の中に幾度となく見たり経験したりしてきたような気がする。
日本人は自分が日常的に関わることのできる範囲内の困った人には知らん顔をするのに、メディアで取り上げられるような実生活からは距離のある不幸には反応する。まあ、その反応は大抵の場合において一時的な感情で終わる。一時的で終わるからこそ寄付や同情を寄せるのだろう。身近な人間の不幸に寄り添う負担は、その後長期にわたる可能性が高いから避けたいのだろう。
そうでなくともスマホから視線をあげない人々の社会における問題行動があったのに、加えて新型コロナ拡大に伴う行動制限とほぼ100%に近いマスクの着用などで、日本人はますます他人への温かい視線や思いやりの感情を喪っているように感じる。
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