「窓の灯り」は辺りが暗くなければ人の眼につかない。
夕暮れ時、家庭の窓から漏れる灯りが楽しい我が家の証と歌われた昔もあった。
さて、今はどうだろう、にぎやかに笑い声響く家の窓はどれくらいあるのだろうか。
私がときどき気にするのは、早朝の向かいのマンションの窓の灯り。いろいろな事情で朝が早い私が同様の時間に明かりの点るお宅があることに気づいたのは、もうずいぶん昔のことだ。その家の住人は全く見ず知らずでありながら、何となく親近感を覚えたものだ。
長い間かってに親しませてもらったお宅の灯りが点らなくなった。ちょうど私が定年を迎えるころだ。ということは、あの明かりの主は私と同年配か。そんなことも考えた。
最近、以前目にしていた家とは違う家の灯りが、私の行動開始時間とほぼ同時刻に点っているのに気付いている。
人はあえて対面で語り合わなくても人の心に灯をともすことはできる。
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