人心が荒れているのではないかとの心象を裏付けるような光景をこの一週間に三件目撃した。
一件目は、仕事帰りの電車内でのこと。
優先席に座った40歳前後と思われる男性。座っている様子から見ても刺々しい雰囲気は感じられていたが、降車の際に、出口付近に集団で立っていた部活の対外遠征帰りらしい中学生に体当たりして「どけ!!この野郎!!」と悪態を浴びせながら降りて行った。その後、車内にとどまっている中学生たちの戸惑いと恐怖が伝わってきた。この一つの経験が、後々の彼らにどのような影響を与えるのだろうかと思うと心が冷え冷えした。
二件目は、出勤の際の乗換駅に降りた時。
降車客と乗車客が交差して混雑する扉付近から「ひと声かけろよー!!なんだよ!!やるのか!!防犯カメラまわってるよ・・・」と叫ぶ声が聞こえた。たぶん、体が触れたか押されたか持ち物がぶつかったか、そんな発端だったたのだろう。因縁を吹っ掛けられた側も気色ばんだのだろう。その後の顛末はわからないが、それ以上の発展がなかったことを祈りたい。
三件目は、駅の連絡通路でのこと。
突然(バサッ!)という音がしたので視線を向けると、行き交う人々で混雑する連絡通路上にピンクの長財布が落ちていて、中から名刺大のカード類や紙類が散乱していた。傍に立っていた若い女性が「ヤレヤレ・・・」といった面持ちでゆっくりしゃがんで財布を片づけ始めた。誰が投げたのかと振り返ると、肩をそびやかしてスタスタと振り向きもせずに歩み去る男の後ろ姿が目にとまった。
その男性と女性の関係がどうなのかはわからないが、一般的な印象では接客業関連の男女なのかなと思われる様子だった。
気に入らなければ殴る、蹴る、物を投げつけるという癇癪で女性にあたり散らす男の暴力は、その周囲に居合わせた者にも恐怖感を与える。
この短期間に立て続けに目撃した(いやーーーな感じ)の出来事だけで世の中を語るのは不適切だとは思うが、このような形で表出するまでには至らなくても、その直前くらいのギスギスした空気は常に感じている。
「今の社会を変えるためにはこうしたら良いのでは・・・」などという意見を述べるような立場にはないし、そのような見識も持ち合わせない市井の一小市民の私ではあるが、なんとか皆が自分をしっかり把握して「いまあるもの、いまできること」を大事にしてほしいと祈るような想いのこのごろ。
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