「ドナルド・トランプの危険な兆候・・・精神科医たちは敢えて告発する」
バンディ・リー:編 村松太郎:訳 岩波書店:発行
表表紙カバーの折り返し部分に書かれた要約を引用します。
(ここから引用)
リフトン、ハーマンなど著名人を筆頭に、全米から精神科医・心理学者たちが、名門イェール大学で行われた会合に参集。直接診断していない有名人に対して精神科医がコメントを出してはいけないという倫理規定を超えて、トランプ大統領の数多くの言動がアメリカの政治社会および国際政治、そして個々人にもたらす危険を多面的に論じた。専門家の社会的責任とは何かをも問う、話題沸騰の書。
(引用終わり)
トランプ氏が大統領に就任してからというもの、毎日のようにメディアは彼のツィッターを追いかけて報道し、あれこれと解説したり理解しようとしたりしていましたが、ここにきて、そうした報道がめっきり減ったような気がしています。その内容のあまりの唐突さ異常さに反応や対応を保留せざるを得なくなったのでしょうか。
アメリカの精神・心理関係の専門家には「ゴールドウォータールール」という制約があって、社会的に名前が出た人に関して、自分が直接診断していないにもかかわらず軽々しく見解を述べることはできないというルールのようです。
にもかかわらず、専門家集団がそれぞれの見解を文章にして出版したのは、トランプ氏によってもたらされるかもしれない危険がアメリカのみならず全世界・全地球に及ぶかもしれないという差し迫った危惧から、というより、恐怖からのような気がします。
トランプ氏は、裕福な不動産業成功者の家に生まれました。生まれながらにして財産や社会的名誉に恵まれた2世3世が社会の中でそれなりの地位を当然のごとく手に入れるという例は数知れずです。
初代にはそれなりの辛酸があったでしょうが、2世3世となるとどうでしょう。日本の有名人にも当てはまりそうですが、そうした生まれながらに「持てる人」たちは、他人からお追従で異見を言われることは少ないのではないでしょうか?ということは、「おぼっちゃん・おじょうちゃん」がトップの椅子に座れば「自分が一番」のナルシストになるのは目に見えています。ナルシストには他者に共感し思いやるという感情は欠落するでしょうね。だって、幼い頃から周囲が気を遣ってくれるのが当たり前の環境で育つのですから。
まあ、そうした環境で育つことが、人間として幸せかどうかは別のはなしですが・・・
たぶん、トランプ氏は、誰の意見にも従わないでしょう。自らの判断も、その時々の衝動で下しているのでしょう。少し政治に関心を持った一般人よりもっとまずい"子供"のような判断力で動いているようにしか見えません。そのことに、今や世界中の人々が気付き始めていると思います。でも、どうしようもないのです。彼の愚行を阻止できるのはアメリカ合衆国の国民だけなのです。
トランプ氏のツィッターは深夜に更新されることが多いようですが、この本の中に書いてあるように「トランプ氏の午前三時のツィッターで地球消滅のボタンが押されないように」祈るばかりのこのごろです。
かつてのキューバ危機の際、ホワイトハウスの執務室で、重圧に耐えて独り思考しているケネディ大統領の背中を写した写真がありました。いま改めて懐かしく思い出します。
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