今年の5月から、約40年ぶりの電車通勤が始まった。
電車通勤する人の多くは、乗り込む車両が決まってくるし、それに伴いホームでの待ち位置も決まってくる。
ということは、毎朝同じような顔ぶれに出会うわけである。
今年の秋過ぎ頃から、私が定位置にしているホームの電車待ちの列の2つ右隣に、私と同年齢前後と思われる女性が立つようになった。
最初見かけた時から、少々の異様さを感じた。
息子の使っていた物かと思われるようなジャージのズボンやウィンドブレーカーなど、無頓着な服装。
超のうえに超がつくような短髪に化粧っ気のない顔の眉は無いも同然。
そろそろ気温も下がってきて、むしろ寒いくらいなのに足元はサンダル。
身なりは個人の自由なので、それは構わないのだが、ひとつだけ傍迷惑な彼女の行動がある。
それは、彼女の呟くような声である。
手元に和書のような本を持って体を揺すりながら小声で謡うように読んでいる。
最初は詩吟をうなっているのかと思ったが、どうも詩吟ではないようだ。
彼女は耳当てをしているので自覚はないのかもしれないが、唸るような小声は周囲に蚊の羽音のように届いてくる。
これが案外耳障りなのだ。
彼女が早朝の出勤時に姿を現すようになって2ヶ月、最近は彼女の後ろに並ぶ人がいなくなっている。
みんなあの低い呟きの声が気になっていたんだ。
他人に危害を加えるような行動ではないので、何とも言いようがないが、
「他人のふり見て・・・なんとやら」、大勢の人なかに出かけるようになった私も、
無自覚のうちに他人に嫌われる行為をしていないかを常に意識しなくてはと思う。
最近独り言が増えてきたことだし・・・
とかく年取ると鈍感になって来がちなので、そこは常日頃からの心がけが大事なのだろう。
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