昨夜、23:15から テレビ朝日で、
「列島異変2016 凶暴グマ異常出没の謎を追え!!秋田4人死亡の殺人熊生還者激白」という番組を視ました。
今年は特に、本州のあちらこちらで熊出没のニュースが相次いでいます。
私が幼かった頃は、猿やイノシシの話はあっても熊の目撃など考えられもしなかった郷里(山口県)にも熊が出て来たそうです。
今なぜ熊が人間の生活圏に頻繁に出没するようになったのか?
この番組を視て、理解の糸口を得たような気がします。
日本の農業・林業地域では、長い年月をかけて【奥山】【里山】【人里】という棲み分けが確立されてきました。
ところが、高齢化に伴う過疎現象で、まず【里山】から人の姿が消えました。
それまでは、【里山】に暮らす人々や、そこにある田畑で仕事をする人間たちが、
作物を鳥獣の食害から守るためにさまざまな防衛の為の威嚇をして人間の暮らしを守っていた筈です。
人気(ひとけ)が失せた【里山】は、それまでは人と獣の緩衝地帯であったものが【奥山】と同じ状況になり、
結果、獣の生息域が【人里】のすぐ隣の【里山】にまで下りて来てしまったのだそうです。
【里山】まで下りてくれば、次は食料が難なく手に入る【人里】に出没するようになるのは至極当然な流れになります。
まして、現代人は獣との対峙に関しては不慣れになっています。
となると、獣は食料を易々と発見できて大量に食べられる場所を覚えて何度でもやって来ます。
また、今年は特に目撃される頭数が多くなっているのは、温暖化の影響もあると専門家は見ています。
熊は食料状況に応じて妊娠・出産をするのだそうです。
この温暖化で、熊の餌となるブナが豊作で、年に一度の出産が二度になっているらしいのです。
そうなると、生まれてくる子供の数も多くなり、結果、目撃される数も増えているのではないかということです。
また、頭数が増えれば、当然、食料も多く必要となるわけです。
長年、ツキノワグマを研究されてきた研究者のお話は分かりやすかったです。
この番組で一番衝撃を受けたのは、熊が、襲った人間を食っていたということです。
人間を襲って人肉を食ったらしい雌グマは射殺されましたが、
その母熊と一緒に人肉を食べたらしい子熊がまだ周辺にいて他の人を襲ったそうです。
熊は非常に学習能力が高く、
人間は自分より弱くて恐れるに足りぬと学習すれば次第に人間を襲うことが常態化してしまう可能性があるのだそうです。
こうして熊が人を食す習慣が生態系の中で広まっていくと考えると恐ろしい話だと思います。
人間を襲って食ってしまう獣と言えばライオンやトラなど、日本以外の国の話と思っていましたが、
これからは、日本国内で最大級の獣である熊もその仲間に入るかもしれないのです。
近年は、山に入って獣を狩る猟師の減少も著しいと聞きます。
ごく一部ではそうした現状を危ぶんで猟師を志す若者もいて、
狩った獣の肉はジビエ料理にして提供するなどの活動もあると聞きます。
私はずっと、日本国内の山林が放置され続けているような気がして心底から危惧しているのですが、
治水にしても土砂崩れにしても海の問題までも、そして、人間の生活領域を頻繁に荒らすようになった獣の問題も、
多分に山林の管理が手薄になっていることが原因になっている気がしてなりません。
そうそう、そう言えば、温暖化の原因であるCO2の問題も森と関係があります。
とにかく、何ごともバランスの問題。
「押したり引いたり」しながら、
これからは獣との新しい棲み分けを模索しなければならない時代が来たのだろうなと思いました。
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