昨日の朝日新聞「天声人語」で、精神科医療について取り上げられていた。
川崎市の聖マリアンナ医大病院の医師が、
自らは診察したことがない患者の症例リポートを提出していたという事件に触れてのことだ。
私も過去に、必要があってメンタルクリニックや精神科を利用した経験がある。
その経験を踏まえて言うと、
「天声人語」にあるような(パソコン画面を見つめたまま患者の話を聞く医師)は、いる。
自分の得にならない患者(またはその家族)の話には真剣に耳を傾けない医師も、いる。
また、
さまざまなメンタルサポートを掲げるNPO法人などは、
その組織や代表者の名声を高めることや儲けにつながらない相談者には冷淡であることも多かった。
行政機関の相談は、仕事だからやっている感があり、相談の甲斐が無いと思った。
メンタルの不調は表面的には見えづらく、理解されることは少ない。
理解してもらおうと説明すれば、思わぬ誤解を受けてしまう負の面が大きい。
つくづく、この国の精神医療は遅れているのだなあ・・・と思わされる出来事ばかりだった。
最近は、何でも「〇〇症」とか「〇〇障害」と名前をつけて病気にしてしまうけれど、
実際には、適切なカウンセリングを受けることで快方に向かう事例があるのではないかと思う。
または、単なる性格の偏り(それは悪いことではない)が誤解を受けて、
当事者の社会生活に困難をきたしている場合もあり得る。
それらを全て、受診したからといって薬治療にしてしまうのは如何なものか?
むかし見たアメリカ映画に出てくるような、
街中のビルの一室に設けられたごく普通のリビングルームのような部屋で、
ソファにくつろぎながら、まるで友人と語らうようにセラピストと語らえる場所があればいいな、と思う。
最初から構えて精神科を受診するのではなく、その前段階が欲しいと思う。
そこで、専門知識を持ったセラピストと話すことで、
今後の方向性(悩み解決法または医療機関受診の必要性)などを助言してもらえれば、
もしかしたら精神医療の範囲外かもしれなかった事例が救われるかもしれない。
日本人は本来情緒豊かな民族だと思うが、
その情緒が豊か過ぎるあまり、殺伐とした現代社会になじめずに悩みを抱える人もまた多いように感じる。
病的な精神の不調か、はたまた、過度な情緒不安定か、
それを見極めてくれる精神科医師がどれほどいるのだろうか?
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