このところ近所にある図書館の分館を利用して、ちょこちょこと本を読んでいる。
テーマを決めるでもなく、好きな作者があるわけでもないので、
その場その時に目に触れ・手に触れ・タイトルが気持ちに触れた本をとりあえず借りてくる。
今回、中村うさぎの「私という病」 を借りてきた。
以前の私だったら手に取ることさえなかっただろう作家の本。
彼女の名前を初めて知ったのは女性週刊誌に連載されていた記事でのこと。
買い物依存症候群の自分の行動や気持ちをドキュメント風にまとめた1ページコラム。
美容院での待ち時間に読んでいた記憶があるくらい。
その時の感想としては「この人はなんで自分のイタ(痛)い性癖をわざわざ発表するのだろう?」くらいのもの。
ハッキリ言ってあまり興味関心がなかった。
むしろ、その痛々しいまでの自己露出的な文章に、読むことさえ作者に悪いような気がした。
ま、正直言って、ブランド品を買いあさるという時点で、私にとっては関心外の人だった。
今回なぜ、そんな中村うさぎの本を衝動的に借りて来たのかと言うと、
しばらく耳目から遠ざかっていた彼女の名前がテレビのワイドニュースで流れていて、それが記憶に微かにあったことによる。
彼女は、原因不明だけれど突然倒れて心肺停止になり、現在は ICU(集中治療室)の中。
公式ブログによると意識は戻ったようだ。
そして、読み終えた。中村うさぎの「私という病」。
長年、私にとっては興味のない生活行動に生きる人だと無視し続けてきたことが信じられないくらい、
近年読んだ本の中でも比べる物が無いくらいのスピードで一気(いっき)に読み終えた。
わかる、わかるよ、うさぎさん・・・まったくそうそう、そうなんだよねえ・・・の連続。
しかし、これほどの赤裸々かつ本音を活字にするには、
作者はズタズタボロボロに心身を消耗し、社会的にもダメージを受けかねない作家活動だろうと思われる。
私もかつては、彼女の作品を読むこともなく、女性週刊誌記事から受けたイメージで彼女を決めつけ遠ざけていたのだもの。
彼女の書いている内容は、同じ女性であっても理解の度合いや共感の度合いは人それぞれ濃淡あるだろう。
それはまあ、十人十色だから、自分が女であることを意識する人しない人色々だし、ね。
一方、男性には理解できないだろうなあ・・・そもそも、こんな女性の心理に関心も無いだろうなあ・・・と思う。
過去折に触れ耳にした話なのだけれど、
男性は女性から、「私だって人間です。人間として扱ってください」と言われると困るらしい。
ここのところなんだよなあ・・・この本の核心も。
頭の中だけで並べたきれいごとではないだけに、訴える力が強まっているような気がする。
とかく複雑に入り組んで取り留めもなくて、でも強い想いで、他人に理解できるように説明し難い女性の気持ち、
それを、文章にまとめ上げた彼女の力は、やはりすごいと思う。
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