映画「おくりびと」を観ました。
永遠の旅立ちを見送ってくれるのは家族や友人・知人だけではなくて、こうした人たちも手を貸してくれるのだということですね。納棺師という存在を、私は今回始めて知りました。遺体を前にして、厳かに旅立ちの身づくろいを整えてゆくその所作に感動を覚えました。できれば自分も、せめて人生の最期には、このように心を込めて丁寧に扱われたいものだと思います。
フィクションだとわかっていても、死の床に横たわるそれぞれの死者が過ごしてきたであろう過去の日々を想像すると涙が溢れてきます。生前どのように家族や友人・知人とかかわってきたのか?死者に対する遺族の想いは?死者との間にわだかまりを抱えたままで別れの日を迎えた遺族にとって、目の前でこのような納棺の手順を踏んでもらえるならば、多少はその死による衝撃が和らげられるのではないかと思われます。葬儀のあれこれは結局、死者の為というより、その死を乗り越えてこれからも生きて行かねばならない遺された者の為のような気がするのです。ああしておけば良かった、こうもしておけば良かったと悔いても後の祭り。その後悔の念を断ち切る為にも、葬儀はおろそかにできない儀式なのでしょう。
永らえば永らえただけ身近な人との永劫の別れを経験する回数が増えます。いつかは自分もこうして送られる身となる。その時どのように送られたいかを考えることは、翻って、今からどのように生きていかねばならないかを考えさせます。
心に残る、いい映画でした。
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