「絶歌」 元少年A:著 太田出版:発行
「あの日」 小保方晴子:著 講談社:発行
「止まった時計 麻原彰晃の三女・アーチャリーの手記」 松本麗華:著 講談社:発行
これら三冊の本は、いずれも、近年、世間の注目を集めた事件の当事者または近親者の著作である。
読まずに書評することはできない。
そう思って「止まった時計・・・・・」を図書館で借りて読み始めた。
読み始めてじきに止めた。
娘から見れば普通の家庭人であった麻原彰晃かも知れないが、
被害者遺族や関係者、そして一般人の心をも深く傷つけた犯罪の中心人物である。
いずれの事件も、時間の経過とともに風化したとは言い難い事件。
被害者遺族が、傷心癒されぬままに暮らしている同じ時代に、
当事者または近親者の手記が世に出ることには抵抗を覚える。
書籍出版が著者にも利益を生む行為であることと、
活字化が事件の真相を歪めて定着させる効果も孕むからだ。
以前、文章の添削を受けていた時に感じたことがある。
恨み辛みや悲しみ・哀しみ・苦しみなどの負の感情は、
自分の中で昇華できぬまま活字に表現すると添削者の不快を誘うらしいということを。
それは、自己保身や自己弁護の表現が、どうしても文章の端々に顔をのぞかせてしまうからだろう。
話題性のあるうちに本を売りたいという出版社の意図と、
何らかの言い訳をして社会的な立場を復活させたい著者の思惑が合わさって、
こうした書籍の出版に至るのだろうか。
個人的な意見だけれど、私は、こうした本には拒否の感情を抱いてしまう。
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