石を抱えて  


人は時に 胸の中に石を抱えることがある
悔しさの石 後悔の石 恨みの石
泥にまみれて よごれきった薄汚い石

数え切れないほどの石の重みが胸をつぶし
ヨタヨタと ヨロヨロと トボトボと
人気(ひとけ)の無い 暗い道を歩く日がある

それでも 立ち止まることはできない

人知れず流す涙は やがて泥を洗い流し
繰り返し 胸の中で転がしつづけた石は
時の流れの中で
まろやかにつややかに
輝きを放ち始める

にぶい光沢をたたえた石の数々は
いつしか 歳月に磨かれて宝石になる 

(2003/01/19)