2024年(令和6年)11月20日(水) 大安 曇り
もうじき誕生日を迎える。73歳になる。73年生き抜いてきたのか……という感慨と同時に残された日々に想いを巡らすことが増えた。どういう形で人生を片付けようかと思わぬ日はない。
市井の塵に過ぎない私の死が社会全般に意味を持つとは思えないが、自分自身のためには考えておかなくてはならないことだと心引き締めるこのごろ。
それにしても、国内のみならず世界的な人間社会の変容ぶりに驚き落胆することの多い日々であることよ!この変わりようにはSNSというネットツールの普及が大いに関係していると、多くの識者が発言しているし、私もそう思う。ネット交流が一般化した初期のころの経験からも「無責任な言いたい放題(発信し放題)」がどういう悲惨な結果を招くのかを危惧してきたが、近年になってその結果が見えてきたような気がする。
昨日のニュースで、詩人の谷川俊太郎さんが亡くなられたことを知った。そのことを報じるテレビニュースで、過去のインタビューの一場面を再放送していた。その中で谷川さんが「最近は言葉が溢れすぎて、言葉のインフレーションを起こしている」という内容の発言をしておられたのが印象的だった。なので、谷川さんは、あえて短い言葉を紡ぐことにされたそうだ。
文章を書く時も、心掛けるべきことは、何度も読みなおして如何に短く分かり易い言葉で表現するかに心を砕くことが肝要。
言葉は、頭に浮かぶまま口に出したり文にしてはいけない。一度自分の心のフィルターにかけて、適切な言葉を適切なタイミングで発出すべき形のない道具なのだ。それは使い方次第で危険な飛道具にもなるし癒しの薬にもなる。言葉を用いるには慎重さが欠かせない。
近年の世情を鑑みて、ますますものが言えなくなっている私である。
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