物に宿る思い出

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実家を離れてから今日に至るまで、いわゆる「楽しい帰省」ができたのは数回。

母が母らしいうちに実家に帰省できたのは2回くらいだろうか。




物に対する執着心の薄い私が実家から何かを欲しがることはなかったと思う。

それでも、「お母さん、あれちょうだい」と言ったものがある。

それは型押し寿司の木型。

子供のころ、祭りや正月に母が作ってくれるのが楽しみだった記憶がある。

私も我が子に食べさせようと思って母に頼んでみた。

本当は、長方形の真ん中に仕切りがあって正方形の押し寿司が二つできる型が欲しかったのだが、

母が小包に入れて送ってくれたのは松竹梅の型に押せる木型だった。

なぜ正方形の型でなかったのか、理由はもう覚えていない。

せっかく貰った木型も、その後、松竹梅の押し寿司型の出番は無いままに食器棚の奥に眠っている。

今だに、それを取り出して眺めながら思い出に浸る時間は持てないでいる。



一方で、母の葬儀で帰省した時に貰ってきた鉢は日常的に活用している。

直径25cm・深さ10cmくらいのクラシックな鉢には固定した食物の思い出がある。

それは「ナマコの酢の物」で、私は大っ嫌いだったけれど3歳上の姉には大好物だった総菜だ。

ヌルヌルとしてグレーっぽい色合いで酸っぱい(酢の物だから当たり前)ナマコの酢の物が、私は苦手だった。

ところが、姉はその鉢の全部を一人で平らげてしまうほど好んでいた。

その鉢には、母が酢の物を作って入れていた記憶が残っている。

「ナマコの酢の物」以外では「蓮の三杯酢」も入っていたっけなあ・・・



物に執着は強くないけれど、その食器を使いながら、当時の母の気持ちを考えてみたりすることもある。



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このページは、tsuyuが2018年11月 6日 21:42に書いたブログ記事です。

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